2026年4月の竹内先生のコラム(お手紙)です。
竹内先生の自筆版はPDFファイルを参照下さい。
— 以下テキスト版 —
不登校のことみんなで語り合いましょう!!
10数年前、私が不登校の親の会を初めた頃、参考になる文献がないかと友だちに聞いたとき、教えてもらったのが、高垣忠一郎(立命館大学名誉教授)の本を読んでみたらと言われました。そこから私の不登校が始まったのですが、つい最近、東葛の会という不登校の会のニュースを講読しているのですが、その3月号に高垣忠一郎さんの著書「揺れる子どもの心の発達」からの引用の文が載っていたので紹介します。
≪まず心の負担からの解放を≫
さて、学校で不安や緊張やストレスが耐えられる限度を超えると、いったん退却して自分を守ろうとして、学校へ行けなくなります。学校へ行かなければ楽になるかといえば、そうではなく、新たな負担がかかって来ます。「皆は行っているのに自分は行けない。情けない。」「お父さん、お母さんの期待を裏切って申しわけない」など罪悪感・負い目がおおいかぶさってきます。・・・・まずは、そういう心の状態から子どもの心を解放してあげる必要があります。
≪不登校を「治す」主体は子ども自身≫
不登校を「治す」主体は子ども自身です。あくまでも、子どもが自分自身の力で「治して」行くのです。親や先生やカウンセラーは、それを手助けするだけです。「私が何とかしなくては」と肩に力が入ると、子どもを追い詰めてしまいます。「ちょっとお手伝いできるかな」ぐらいの距離とゆとりが大事です。
≪原因がわからなくても、お手伝いはできる≫
テレビは原因がわからなくては直せませんが、不登校の場合は原因が分からなくても、子どもが元気になっていくお手伝いは出来ます。子どもがケガをしたとき、原因を詮索するよりもまずケガの手当をします。原因が分からなくとも、ケガの手当ては出来るのです。
≪自己回復力の発揮を援助する≫
人間には、自分で自分を治して行く、自己回復力が備わっています。私たちの心にも、自己実現しよう、自分を伸ばそう、回復させようという力が備っています。その力に依拠して、援助するのです。
<こんな自分であっていい、という安心感を>
不安、罪悪感ではなく、しなやかで柔らかい心を取り戻すには、「ありのままを受け入れられる」という経験をすることがだいじです。「行けない」ならば、それを受け入れることです。
「こんな自分を親は受け入れてくれるんだ。」という安心感がふくらむことで、心のエネルギーが前向きに使えるようになるのです。家の中で何かを始めたり、友だちが訪ねて来ても会えるようになったり、友達と遊びに出かけられるようになったり、心が少しずつ開いていきます。
≪その子の「心の窓」を探す≫
親、先生と一緒にいても、安心できるという関係をつくる上でだいじなのは、やはり、その窓は、その子が興味関心を持っていることです。その子が好きなこと、ゲーム、まんが、ケーキづくり、魚つりなど、それを親は共有することです。自分が好きなことをだいじにしてくれる人には心を開いていけるのです。
と高垣先生は書いていますが、今も、不登校の子どものことを考える指針になっていると思っています。
「学校へ行きたくない。」と言う子どもを前にして、親は「どうしたら」「何としても学校へ行かせなくては」と思うのは親なら誰でも思うことです。そして手を引っぱってでも学校へと、でも、子どもは学校へ入れないで、門につかまって、動けなくなってしまいます。 どうしてと理由を聞かれても、自分でも分からないで固まってしまう子どもをどうしたらと始じまる不登校。そんな時大切なのは「信じて待つ」ことです。
「家でゆっくりしてもいいよ。」そして、安心できたら、そう思えたら、子どもは自から前を向けるようになります。そのことをある事例で説明してくれた広木先生のお話がいつも浮んできます。ある高一の男の子がある日、突然お母さんに「俺の足をもんで」と要求したのです。それから毎日のようにお母さんに足をだして、もむことを要求したそうです。広木先生はそのお母さんに「なおざりではなく、心をこめてもんであげてください」と、アドバイスをしたそうです。そして、1年近く息子の足をもむ毎日の中で、ある日、男の子は「もういいよ。」と言ったそうです。それから、その男の子は、自分から勉強を始め、大学へも合格して、ケアーの道に進んだというお話です。お母さんの足もみが心の支えにつながっていたのだと思うのです。子どもは安心できたら、自分の好きなことで前を向けるのだと。それを確かめるのに1年近くかかったのですが、それが力となって前へ進めたのです。子どもは安心できたら自分の好きなことで前を向けるのです。「信じて待つ」ことの大切さを学んだように思っています。何をするかは、いくら時間がかかっても、子ども自身が決めることです。もし、失敗したとしても、自分を見守ってくれる親がいると思えたら、後を向かなくてもいいのです。次の旅に出れるのです。安心して!!
2026年3月 竹内春雄