かわさき市民活動ポータルサイト

応援ナビかわさき

2025年10月 広木先生の講演から今の不登校を考える!!

活動報告概要

【コラム】2025年10月 広木先生の講演から今の不登校を考える!!

2025年10月の竹内先生のコラム(お手紙)です。
竹内先生の自筆版はPDFファイルを参照下さい。
竹内先生のコラム 2025年10月.pdf

— 以下テキスト版 —
広木先生の講演から今の不登校を考える!!

 広木先生が流山市で講演された(2025年5月31日)時の抄録した文章を手にしました。テーマは“不登校の『心の傷』が癒えるとは”という話です。最近出版した本の題名でもあります。

 その抄録から、改め“そうだ”大切にしなくてはと思ったことを抜粋して改めて不登校について考えてみます。

 『心の傷は二階建て』 一階は『本源的な傷』、二階は不登校を責めることによる『心の傷』。 子どもはこの『心の傷』を癒す力を持っています。

 『心の傷』について大事なのは『心の傷は二階建てだ』ということです。一階は『本源的な傷、根本の傷』と私は呼んでいます。元になる傷と言ってもいい。それは社会や学校や家庭に感じる不信と恐怖、いじめもあるかもしれない。無理解もあるかもしれない。不合理な叱責もあるかもしれない。そういうさまざまな問題があって子どもたちが感じる『心の傷』。子どもたちはこれを学校で感じることが多いのです。いじめもそうです。ルールがものすごく多くなって「ルールに縛られて、面白くないよ」と言います。そして「学校がきつい」とも言います。こういう子どもたちが感じる『本源的な心の傷』、この『心の傷』になる前の『心身の不調』を訴える子どもたちがとても増えているのです。さらに、学校に行けなくなること二階部分の『新しい傷』ができるのです。それは、学校へ行けない自分を責めることによる『心の傷』です。『みんなが行っているのに行けない僕は普通じゃない。僕は異常だ』と自分を責める傷。これがすごく強くなります。だからうちの中で家族と話をしようとしないし、家族がたずねても、非常に鋭い目で見返したりする。駄目な自分、頑張れない自分を責めます。そして同時に『見捨てられ不安』という不安を抱えます。こんな僕など居ない方がいいって思っているの。『僕さえ居なければ家族は幸せなんだ』と不安を抱えるのです。これは不登校になったことによって感じる『心の傷』なのです。

 だから不登校の『心の傷』は、不登校になる前に感じた頭痛や腹痛の基になった一階の『心の傷』があり、それから不登校になったことによって二階の『心の傷』が出来 る。最初の傷に、次の傷が重なる二階建てと言えます。

 しかし、子どもはこの『心の傷』を癒す力を持っています。ここを信じられるかどうかが分れ目になります。『心の傷』は必ず癒えるのです。その『心の傷』の癒えるには法則があります。最初の傷から治そうと思っても治りません。まず二階建ての所の傷、二次的な傷を子どもが癒していくことが決定的に重要になります。まず新しい傷を癒すと、その下の『根本的な傷』が顔を出して来ますから、それを次に癒す。だから時間はちょっとかかります。その時、子どもは家にいるわけですから、やはり『家族の在り方』がものすごく大事な条件になってきます。不登校は家族が原因で起きるのではないのです。家族が要因でもないのです。原因はどこでできたかわからないとして『心の傷』が原因で子どもは身動きできなくなる。この傷を癒していく上で家族ほど大事なことはない。

 この家族の力こそが大切だと私は特に強調しておきたい・・・と広木先生は話しています。そのお話を読みながら朝日9月1日のwith youの記事を紹介したいと思いました。絵本作家、鈴木のりたけさんのお話が載っていまし た。「子3人が不登校経験・見守る人・時間必要」というタイトルの記事です。長女は今通信校に通っていますが小3まで学校へ行かなくなった時は思い悩みました。長女はほとんど無口になって、「自分が学校に行かないから親がつらそう」と自分を責め苦を感じていたようです。フリースクールに行き始めてから長女は笑うようになりました。長男は小学校は10日ぐらいで行かなくなり、次男は1日も行かず、フリースクールに通っています。そして、鈴木さんは、人生80年、子どもや僕が悩んでいたのはそのうちのたかが4~5年ですと話しています。そして『僕は絵本を通して『世の中は面白いよ』と伝えたい。汗水垂らしてつき合うだけの価値のある奥深い愛にあふれた世界ですよ』と。面白い世の中と向き合いたという気持ちを持つためには、やりたいことをやれる環境や興味があることに費いやせる時間(好きなことをやる時間)を見守る大人が必要だと思うのです。 好きなことが分からない時は、“待つ”ですと語っています。(私も同感です。子どもは自分を信じてくれる親を感じたら、自分のやりたいこと、好きなことに向っ ていくと思っています。それを決めるのは、親ではなく子ども自身なのです。鈴木さんは好きなことが分からない時は“待つ”と書いています。自分を信じてくれる親がいれは鬼に金棒で、自分のやりたいこと好きなことに向かって動きだすのです。鈴木さんはそのことを語っています。)そして、鈴木さんは最後にまとめとして、次のように語っています。

 「不登校は社会の問題で、社会にある価値観やシステムを変える必要があると感じます。お母さんや父さんも自責の念にかられることはありません。子どもたちには、こう伝えたいです。原因はあなたがどうしようもないことが多いし、あなたのせいじゃないことを大人は分かっている。だから『病むな』と・・・・でも毎日がどれほど母親にとってつらいことか、そんなときは、親の会で同じ体験をしている者の同志話し合うことで少しずつ自然に生活ができるようになってきます。そのことを子どもは敏感に感じて、安心して前を向ける ようになると思っています。子どもを信じていいと思います。

2025年9月竹内春雄