かわさき市民活動ポータルサイト

応援ナビかわさき

【コラム】2025年9月 不登校の子どもを持つお母さん(お父さん)へ!!

活動報告概要

2025年9月の竹内先生のコラム(お手紙)です。
竹内先生の自筆版はPDFファイルを参照下さい。

— 以下テキスト版 —
不登校の子どもを持つお母さん(お父さん)へ!!

 子どもが不登校になったとき多くの親(特に母親)は、自分の子育てのせいではないか、自分の育て方が悪かったのではないかと考え罪悪感や子どもに対する申し訳けなさを抱くことがあります。ただその思いの裏には「誰か私のせいではないと言ってほしい」「原因は私ではなく、学校など他にあるはずだ」という思いが隠れていることも少なくない…(「不登校のあの子に起きていること」高坂雅者の本より)

 そして親の孤立を三つ挙げています。

①子どもが不登校になることで親が最も経験する感情のひとつが自責感です。自分の子育てが悪るかったのではないか。子どものストレスや不登校の兆候にもっと早く気がつけたのではないか、障害なく生んであげられたら不登校にならなかったのではないかなど、自分のせいで子どもが不登校になってしまったと、自分を責めてしまうのです。

②親は子どもが不登校になると驚き動揺します。「いつ、どうやったら学校へ戻れるの」「学校の成績は?」「高校には行けるの?」など、子どもが学校へ行かなくなったとたん、今まで考えたこともない問いが、たくさん生じます。

③人とのつながりが切れてしまうことです。子どもが不登校になることで仕事を辞めざるを得くなったり、朝遅い出勤、早く退勤したりとパートやシフトを減らしたり、離職したりと、働き方を変えたりする母親がいます。

 不登校の子どもをもつ親の気持ちは毎日学校へ行っている子どもの親には理解しがたいものがあります。それまで仲のよかった親同士でも疎遠になってしまうことがあります。そんな中でも、この孤立をもっとも強く感じているのは、小学校低学年の子どもをもつ親ではないでしょうか。と…

 私は不登校の子どもで「学校へ行かなくてもいい」と思っている子どもは一人もいないと思っています。なのに不登校の子どもは増え続けています。どうしてと親に聞かれても、自分でも訳が分からず説明できない子どもたちがいます。

 そのことについて高坂さんは、次のように書いています。

 『どうして自分のことなのに、不登校の理由をはっきりと言うことができないのでしょうか。不登校の理由や要因を考える際に、心のコップにたとえることがあります。子どもが学校や家庭で生じる嫌なことが一滴一滴コップにたまっていきます。その一滴一滴は、勉強のことかもしれませんし、友人関係のことかもしれません。親から「勉強しなさい!!」と口うるさく言われることがストレスの一滴となっているかもしれません。さまざまなストレスが少しずつ溜まっていきます。ときにはいじめや教師からの不適切な指導のような「一滴」とは言えないような大量の水が入って、あっという間にあふれてしまうことがあるかもしれません。とにかく、そうやってストレスが心のコップを除々に満たしていきます。そして、少しずつ溜まっていった水がコップの縁いっぱまできて、表面張力でぎりぎりあふれずにいる状態のとき最後の一滴が降ってきて、心のコップの限界を超え、あふれる。このあふれた状態が不登校であり最後の一滴となった出来事が「不登校の理由」なのです。だから不登校の理由や原因をひとつに限定することはできないのです。親に聞かれても、子どもは説明することはできないのです。自分でも分からないのです。学校に行けない原因を聞かれても納得できるように答えが返ってくることはありません。「まあ、しかたないね」と言って、子どもの思いを受け止めた方が子どもにとっても親にとってもよいのかもしれません。』と書いています。私も「子どもを信じて待つ」方がいいと思っています。

 そして『不登校の子どもの親が求めている情報をもっているのは不登校の子どもの親になるわけですが、不登校の子どもの親が不登校の子どもの親と出会うのは容易ではありません。不登校の子どもの親が不登校の子どもの親に出会えないことは、情緒的な孤立だけでなく、情報の孤立も引き起こすことになるのです』とも書いています。

 私もそれはそうだと思っています。だから不登校の親同志が出会える場所として、親の会を毎月、かわさき市民活動センターの会議室で親の会をしています。子どもが「学校へ行きたくない。」と言ったとき、それは子どもが自分ではどうしようもできなくて、親に助けを求めているのです。子どもにそう言われても、「私はどうすればいいの」 それを教えてくれる人は周りにはいないので、一人で悩んでいるのではないでしょうか。そんな時は一人で悩んでいないで同じ体験をしたもの同志で交流をしている親の会に是非、参加してみてください。きっと前を向ける参考になると思っています。同じ体験をしている者同志の話に勇気をもらえると思っています。都合をつけて是非参加してください。

2025年8月末日、竹内春雄

竹内先生コラムPDF版