50年前発行のカミュ全集を当時読破し、今回その全集に収録の「ペスト」を再読してきた強者がいた。われわれが体験したコロナとの違いは、アルジェリアのオランの住民がマスクをしていない様子と、映画館など人が集まる夜の街に繰り出してゆくところ。
主人公のリュー医師は献身的で、カミュの分身かとの意見あり。
だが1884年に北里柴三郎がペスト菌を発見してから60年も経過しているのに、リューのペストに関する知識は遅れているのではとの疑問もでた。
タルーによる「僕はずっとまえからペストに苦しんでいた(=死刑宣告は不条理でペストだ)」との発言を含むリューへの述懐により、「ペスト」がたんに疫病でないことが広く共有された。
脱出が可能になったにも拘わらず、オランに残りリューとタルーに協力したランベールに共感できるとの意見あり。
一方彼はオランの住民の衛生状態を取材しにきたはずなのに、その本来の使命をはたしているように見えないとの批判もあり。
当時、オラン住民の1割がフランス系で、9割がアラブ系と思われるが、アラブ系の視点が欠落しているとの批判もあり。
知事や医師会会長の態度は官僚的との批判があったが、一方彼等の職務上の責任を考慮すれば当然の姿勢だとの反論もあった。
討論劇、群像劇として興味深く読めたとの多数意見あり。
パヌルー神父の二つの説教の違い、キリスト教の視点については、残念ながら議論が盛り上がらなかった。
次回12月10日のみんなで読みたい本(課題本)は乃南アサ著の「家裁調査官 庵原かのん」(新潮文庫 ¥880)に決まった。