2026年10月の竹内先生のコラム(お手紙)です。
竹内先生の自筆版はPDFファイルを参照下さい。
— 以下テキスト版 —
2026年8月31日の朝日新聞の記事から
朝日新聞は毎年、8月の終りから9月にかけて“with you”きみとともに~という不登校の記事を掲載しています。そのうちのいくつかの記事を紹介します。
今朝も登校できなかったー。休み明けの朝は登校再開の期待もかかるだけに落胆も大きく、登校したくない子も増えていますと言う。3人の子が不登校の山本りかさんの記事から― 29才で結婚、3人の子どもが不登校に。不登校の親の会「明るい不登校」を2021年に設立。8月には「きょうだい不登校」を出版。
いま、考えると、私はとんでもない親でした。長男(22才)が中2の2月に登校をしぶり始めた時、この世の終わりかと思うくらいショックだったんです。小学校入学前から英語を習わせ、小学校の6年間は剣道も続け、できる子と期待して、進学校をめざしていました。なのに、朝、何度起こしても起きない。 「おなか痛い」だけで、いじめもないのに「登校したくない」と。無理やりおこすと、トイレに何時も“とじこもり”…「このままなら未来ないよ」「家を出て行け」と暴言を吐きまくりました。「私が負けたらこの子の将来が終る」と思って必死だったんです。そのうちだんだん笑顔が消え食べなくなり、昼間も寝ているだけに。3ヶ月ぐらいした時、ふと「この子、死んでしまうかも」と涙があふれ、がみがみ言うのをやめました。「元気ならそれでいい。何年かかっても高校卒業できればいい」と本気で思えたのは、高校へ通えなくなったころです。月に1~2回通うコースに変更し、ようやく息子に笑顔が戻りました。ところが長男の対応に追れていたころ、今度は小3だった娘が「学校行かない」と宣言して登校しなくなり、中1の次男も不登校に…そして、きょうだいに連鎖して思ったのは「親子関係や家庭内の張り詰めた空気が子どもを二次被害に陥らせ、自殺にも追い込みかねない」ということでした。真面目な親をやめたら、私も楽になって、泣くこともなくなりましたと。そして、2021年から「明るい不登校」というオンラインコミュニティーを立ち上げました。子どもを追い詰めないために、親の明るさを取り戻す活動です。その記事のタイトルは“「元気ならいい」親から心を軽く”です。そして「籠城され暴言吐いた私。「真面目」やめたらお互い楽に」という言葉でまとめています。
そしてオンラインの活動をしていて、音声配信1千回の時「絶望しかない」という方がいました。「学校なんて、行かなくても大丈夫と言えるのは他人だからだ」と。みんなが通った思い。そして2千回のこの夏。その方は、学校に行けたり、行けなかったりする息子さんをゆったりと受け止めていらしゃいましたと。
「学校へ行きたくない」と言う子どもを前にして、「なんとかしなくては」「この子の将来が終る」と思うのではなく、「元気ならいい」親が心を軽くすることの大切さを改めて考えました。
次の日2026年9月1日の記事には、今、現在、声優の佐倉綾音さんが小中学校で不登校になったときのことを語っています。
小学5年生の頃でした。転校してきた子から、私が好きなことを「私は嫌い」と否定されました。負の感情をぶつけられた経験がなくて、衝撃でした。こういう傷つく経験をこれからも何度もしなくてはいけないのかと、絶望に似た気持ちになりました。その夏、ミニバスケットボールの練習中に意識を失いました。立とうとしても体が言うことをきかない。病院で起立性調節障害や自律神経失調病と診断されました。学校へ行かない日が増えていきました。日中は本を読みラジオを聴き好きなことをしました。一方で朝は地獄でした。布団の上で眠れないまま朝を迎えることがよくありました。通学する子どもたちの声が聞こえてきます。みんなが当り前にできていることが自分にはできないという落第感、ずっと「普通」になれないと自分を責め続けていました。そして、フリースクールの見学に母と2人で行った帰りにマイタケの天ぷらを食べました。「おいしいね」と言い合い、とりとめのない話をしました。休んでいる自分をそのまま認めてくれるような気がして、とても安心できました。⦅休んでいることをとがめるのではなく、いいよ休んでもという母親の思いはそんななんでもない食事の中でも、子どもは感じとるのだと思いました。⦆
そして、佐倉さんは中2の時(学校は行かなくても)自分の好きな劇団に入りました。父が借りてきてくれた映画やアニメを見て興味を持ったことがきっかけでした。⦅父親も本人に学校はとは言わず、本人の好きなことを認めて貸りてきたのですね⦆そしてその劇団には不思議なくらい無遅刻無欠席で、中3の終りには、オーディション に合格しましたと。そして、’好きなこと’だからできたんだと語っています。そして 声優になれたのは結果論で学校へ行かなくてもいいと安易に言うつもりはありません。でも、学校へ行けなかった時間が全部無駄だったわけでもないと語っています。
学校へ行けず苦しんでいる人には、少し余裕ができたら、自分の興味があること(好きなこと)を探してほしいです。とことんやれば自信につながると思いますと。また、周囲の大人には、本人が一番自分を責めていることを知ってほしい。怠けているように見えると思いますが、本人こそが自己否定を繰り返しています。だから否定を重ねないで、温かく、いつも通り接であげてほしいいですと話しています。⦅佐倉さんの親御さんはお母さんもお父さんも、ありのままの佐倉さんを認めて、佐倉さんに学校へという思いではなく好きなこと、やりたいことをやってという思いが佐倉さんに伝わって、声優の道を選んだのですね。自分で⦆
2026年9月 竹内春雄